原油:供給過剰「続く」…50ドル割れ、市場に底値の声も
サウジが原産とも言われるopecの原油生産過剰は、とまらない。
ロシアを標的にした行動とも言われていたが、最近は米国のシェールオイルが
ターゲットとも言われ始めている。急激な価格変動には、世界経済の失速も懸念されている。
原油:供給過剰「続く」…50ドル割れ、市場に底値の声も
20150107
原油価格の国際指標である米国産標準油種(WTI)が50ドルを割った背景には、世界的な原油のだぶつきが当面続くとの見通しの根強さがある。
もともと、欧州や中国の景気減速懸念や米国産シェールオイルの増産、石油輸出国機構(OPEC)の減産見送りで、原油の需給が緩んでいた。そんな中、主要 産油国のロシアとイラクの昨年12月の生産量が数十年ぶりの高水準だったことが判明。ギリシャの政局混乱で欧州景気がさらに減速するとの観測が広がったこ とも影響した。
石油消費国の日本にとって原油安は、燃料代 などの値下がりにつながり「家計支出が個人消費に向かい、じわじわとプラスの効果が出る」(大和総研の長内智エコノミスト)。一方で、最近の急な値下がり で産油国ロシアや関係の深い欧州の経済が悪化するとの不安感から株売りが加速。原油安のプラスとマイナスの効果が綱引きしている状況だ。
業界関係者の間では「50ドル前後になると、採算の厳しくなる油田も出てくる。そろそろ底値が来るのでは」(石油元売り最大手JXホールディングスの木村 康会長)などの見方が多い。だが、価格反転の時期までは見通せない。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの芥田知至主任研究員は「OPECが減産に踏み 切るなどの反転の材料がない。ここ数カ月は底値が続くのではないか」と予想する。【中井正裕】