【7・10参院選 私はこれで投票する】占領軍の作った憲法をこのままいつまでも放置するのか 細川珠生氏

 

【7・10参院選 私はこれで投票する】占領軍の作った憲法をこのままいつまでも放置するのか 細川珠生

2016.07.06

http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20160706/plt1607061550002-n1.htm

 

★(2)

 参院選は政権選択の選挙ではないから、「公約をマニフェストとは言わない」という政党もある。確かに、参院に対し、衆院には優越性がある。特に、総理大臣の指名や予算案の取り扱いなど重要な意思決定において、結果として衆院の意思が尊重される。

 しかし、日本の国会は二院制である以上、参院での議論が重要ではないわけがない。

 憲法改正のための国会での発議は、(衆参)各議院の総議員の3分の2以上の賛成がなければできない。衆参の優劣はない。参院のあり方で改善すべきこともあるが、「政権選択ではない」という意識で、この選挙戦を戦っているのであれば、無責任ではないだろうか。

 実際、一部野党は「改憲勢力3分の2以上の議席獲得の阻止」が目標であり、憲法改正を強く意識していることがうかがえる。憲法について問うことこそが、国政選挙の重要な争点である。

 占領軍の作った憲法を、このままいつまでも一字一句変えないことが正しいのか、自分の国の憲法は自分たちで作るという当たり前のことをするのが正しいのか、国民はしっかり考えるべきである。

 私が日本の現状から重要であると思うことは、1つは前述した憲法についてだ。そして、もう1つは、少子高齢社会の実態に合わせた社会保障制度の構築である。

 日本の高齢化率は26・7%。11年前から世界一だ。高齢化率14%超で「高齢社会」と言われていることから、日本は「超高齢社会」であるということだ。

 

一方、出生率は1・46%(2015年)。政府が掲げる1・8という目標は1983年、つまり33年前の水準である。33歳より若い子たちは、そもそも母体の数も少ないのに、33年も前の水準に戻すというのは、あまりに非現実的な目標である。

  今後、高齢者はどんどん増え、2025年には団塊の世代がすべて75歳以上になるのだ。この現状から、人口が増えていくことを前提に作られている社会保障 制度は限界であることは、誰の目にも明らかである。「負担を増やし給付を減らす」、あるいは「保育士や介護職の給与を少し上げる」くらいでは、到底解決で きない。

 経済の回復の遅れは、個人消費の伸び悩みが大きな要因になっている。消費世代である現役世代、つまり30、40代の子育て世代に、子供の教育費などの負担が大きいことが原因の1つでもある。

 「待機児童の解消」があたかも経済の回復につながっていくような、単純なものではないのだ。少子高齢社会や技術の進歩の速さなど、実態に即した新しい政策を考え、実行することができるかどうか。有権者はしっかりと見極めなければならない。

 細川珠生(ほそかわ・たまお)  政治ジャーナリスト。1968年、東京都生まれ。聖心女子大学卒業後、米ペパーダイン大学政治学部に留学。帰国後、国政や地方行政などを取材。千葉工業大 学理事も務める。政治評論家の細川隆一郎氏は父、細川隆元氏は大叔父。熊本藩主・細川忠興の末裔(まつえい)。著書に「自治体の挑戦」(学陽書房)、「政 治家になるには」(ぺりかん社)。