民進党は左派政党に値しない 自民党と差別化する政策はあるのか

 

民進党は左派政党に値しない 自民党と差別化する政策はあるのか

2016.09.23

http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20160923/dms1609230830001-n1.htm

 


民進党新代表に選出され、代表選を戦った前原誠司氏(左端)と玉木雄一郎氏(中央右)らと「がんばろう三唱」をする蓮舫氏(中央左)=15日、東京都港区のホテル(鈴木健児撮影)【拡大】

先日行われた民進党代表選では、当選した蓮舫氏をはじめ、3人の候補者がいずれも「保守」を強調して、違和感があった。

 「保守」を強調したのは、対外関係が緊迫しているからだろう。日本を射程に入れた北朝鮮の核弾頭開発は最終ステージに入ってきた。日本周辺の安全保障環境が劇的に変わる中、従来のような“お花畑”の安全保障論議は通用しなくなったのだ。

 選挙権年齢が18歳に引き下げられたが、今の若者は、自衛隊違憲とする従来の左派の安全保障論議が欺瞞(ぎまん)に満ちていることをはっきりと知っている。このため、かつてのように左派ではなく、保守を支持する人も多い。

 こうした動きを政治家は肌で感じているはずで、安全保障については、民進党は徐々にまともになってきた。もっとも、従来の左派のお花畑論が世界の常識とかけ離れていただけともいえる。

 問題は経済政策だ。民進党は、金融政策が雇用政策の基本であることを理解していない。金融政策を活用しない政党が先進国に存在するだろうか。世界標準から見れば、まともな金融政策を行わない民進党は明らかに雇用無視であり、左派政党に値しない。

 本来なら金看板とすべき雇用政策で、民進党は金融政策を否定するというひどい間違いを犯している。アベノミクスの第1の矢である金融政策を否定するあまり、雇用政策まで否定していることに気がつかないのは滑稽ですらある。

 世界的なレベルでみれば、リベラル政党は、労働者をコアな支持層とし、所得再分配について政府の介入度を高める方向だ。

 

民進党が今の自民党と差別化するなら、金融政策をさらに重要視して日銀法を改正し、インフレ目標と最大雇用の達成義務を盛り込む。さらに歳入庁を創設して税・社会保険料を一体徴収し、不公平をなくし所得累進課税を強化する方向がいい。

 所得再分配の強弱は、最高の累進課税税率の高低や資産課税の取り組みでみてもいい。また、自由貿易規制緩和は、労働者の権利保護に配慮して、自由化一辺倒でない是々非々路線が求められる。

 エネルギー政策では、産業界に迎合するのではなく、脱原発の方向で、再稼働には慎重スタンスとなるだろう。

  さらにいえば、これまでの日本のリベラルは、経済成長はもう要らないという路線であった。これにも問題がある。戦後の左派系知識人がしばしば陥ったが、世 界的な基準から見れば、ここ20年間の名目成長率が世界でもビリの日本が今後も低成長に甘んじるというのであれば、社会保障を含めた経済社会の諸問題は解 決できない。

 つまり、経済問題では保守もリベラルも大差がなく、成長重視が望ましい。その上で、リベラル政党が規制緩和やエネルギー政 策、安全保障などで見解の相違をぶつけるようになれば、国民に対立軸が提供され、いいライバル関係になるだろう。これが日本で支持されるリベラル政党に求 められることだ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一