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安倍晋三首相とオバマ米大統領が歩んだ4年間の軌跡 28日のハワイ会談で幕

 

 

2016.12.27 21:44更新

【安倍首相真珠湾訪問】
安倍晋三首相とオバマ米大統領が歩んだ4年間の軌跡 28日のハワイ会談で幕

http://www.sankei.com/politics/news/161227/plt1612270030-n1.html

アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議後、オバマ米大統領(右)と歩きながら会話する安倍晋三首相=20日、リマ(AP)

 

 安倍晋三首相と米国のオバマ大統領は27日午前(日本時間28日午前)、米ハワイで首脳会談に臨み、両氏の4年間にわたる歩みに幕を閉じる。安倍首相は太平洋、インド洋、北極海に支配領域を拡張しようとする中国をにらみ、日本の民主党(当時)政権で破綻しかけた日米同盟の再構築を急いだ。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)をめぐっても激しい交渉の末、署名にこぎ着けた。安倍、オバマ両首脳の4年間の軌跡を振り返った。

■冷めたスタート

 安倍、オバマ両首脳の初会談は平成25年2月22日、米ワシントンのホワイトハウスで開かれた。この前月、中国海軍艦艇が海上自衛隊護衛艦に向け、ミサイルを発射する際に対象を捕捉する射撃管制用レーダーを照射するなど、中国は東シナ海で挑発、威嚇行為をエスカレートさせていた。

 だが、当時の日米関係は冷え切っていた。民主党政権が日米公約となっている米軍普天間飛行場沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設をめぐって混乱を引き起こし、オバマ政権の対日不信は頂点に達していた。

 米国をアジア太平洋地域につなぎとめておくには、日本が果たしてきた役割のみならず、これから果たせる役割を米側に認識させる必要があった。安倍首相はこの会談で集団的自衛権の行使を容認する検討に入ったことを伝えた。

 その後、安倍首相は第2次政権発足から1年となる12月26日、東京・九段北の靖国神社に参拝。中国、韓国が日本政府に対し厳重抗議してきたが、在日米大使館も「米政府は失望している」との声明を発表。日米のぎくしゃくした関係が改めて浮き彫りとなった。

 ただ、靖国参拝翌日の12月27日、沖縄県仲井真弘多知事(当時)が普天間飛行場辺野古移設に向けた政府の埋め立て申請を承認したと正式に表明。日米間の懸案だった普天間移設は新たな段階に入った。

■日韓会談を仲介

 26年3月25日の日米韓首脳会談での安倍首相と韓国の朴槿恵大統領の公式会談は両首脳の就任後初めてで、日韓関係の悪化を憂慮するオバマ氏の仲介で実現した。安倍首相は歴史認識をめぐり「反日」を喧伝する朴氏に韓国語で「お会いできてうれしい」と呼びかけ、日韓対話に前向きな日本の姿勢を印象付けた。

 4月24日、安倍首相と来日したオバマ氏が東京・元赤坂の迎賓館で会談。オバマ氏は、中国が不当に領有権を主張する尖閣諸島沖縄県石垣市)が日米安全保障条約の適用対象であることを米大統領として初めて明言し、安倍首相は会談後の共同記者会見で「日米同盟は力強く復活した」と強調した。

 安倍政権が進めていた集団的自衛権の行使容認に向けた取り組みに対し、オバマ氏は歓迎、支持する考えも示した。

■日米防衛指針も再改定

 安倍首相は27年4月28日、ワシントンのホワイトハウスオバマ氏と会談し、戦後70年の節目に「新時代の同盟関係」を掲げた共同声明を発表した。会談に先立ち、日米両政府は外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)で、自衛隊と米軍の新たな役割分担を定めた「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」の再改定に合意。両首脳はこれを踏まえ、東アジアで軍事的緊張を高める中国をにらんだ連携と強固な同盟関係を確認した。安倍首相はこの訪米中に、夏までに安全保障関連法を成立させる決意も表明した。

 安倍首相は8月14日、戦後70年談話を閣議決定する。同26日、オバマ氏は電話会談で安倍首相に「全体として歓迎したい」と伝えた。この電話会談では、米国家安全保障局(NSA)が日本の省庁などを盗聴していたとする機密資料を内部告発サイト「ウィキリークス」が公表した問題について、安倍首相が「事実であれば、日米同盟の信頼関係を揺るがしかねない」として「深刻な懸念」を表明し抗議。オバマ氏は「迷惑をかけたことを大変申し訳なく思う」と陳謝した。

 9月19日には、集団的自衛権の行使容認を含む安全保障関連法が成立した。「自国防衛」に限った事態でしか行使できないが、日米同盟をより強固にさせるものだった。

10月5日、オバマ氏の念願だったTPP交渉が大筋で合意した。安倍首相は11月19日にフィリピン・マニラでオバマ氏と会談した際、TPP交渉の大筋合意について「日米が主導したからこそ達成できた」と称賛した。この会談は、中国が軍事拠点化を図る南シナ海情勢が焦点で、安倍首相は「現状を変更する一方的行為は全てに反対だ」と述べ米軍の「航行の自由作戦」に支持を表明。オバマ氏は「航行の自由作戦は重要な行動だ。日常の行動として実行していきたい」と中国を牽制し、安全保障関連法の成立に祝意も示した。

■歴史的な訪問

 安倍首相が議長を務めた主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)が今年5月26日に開幕した。安倍首相とオバマ氏はサミットに先立って会談したが、日米間の新たなトゲになったのが沖縄県で起きた元米兵による女性遺棄事件だった。安倍首相の抗議に、オバマ氏も「心からの哀悼と深い遺憾の意」を表明した。

 オバマ氏は翌27日、広島市に移動。安倍首相とともに平和記念公園を訪れ、原爆死没者慰霊碑に献花した。広島、長崎に原爆を投下した米国の現職大統領として初めてとなる歴史的な被爆地訪問を実現した。

 オバマ氏は慰霊碑前での演説で「悲惨な戦争で罪のない人々が殺された。私たちは歴史を直視する責任を共有している」と語った。

 11月20日、安倍首相とオバマ氏は訪問先のペルー・リマで短時間立ち話をした。両首脳は同盟の強化に取り組んできたことに「双方が強い指導力を発揮してきた」と互いをたたえた。

 これが最後の接触になるとみられていたが、二人の歩みはこれで終わってはいなかった。この短い立ち話で安倍首相の真珠湾訪問が確認された。