【論戦安保法制】 民主「戦闘に接近」、首相「全く逆だ」 後方支援の「現場」に距離感

論戦の理由は、集団的自衛権 の法制化と自衛隊の行動範囲の拡大である。

 


2015.5.27 22:53更新
【論戦安保法制】
民主「戦闘に接近」、首相「全く逆だ」 後方支援の「現場」に距離感
http://www.sankei.com/politics/news/150527/plt1505270042-n1.html

衆院平和安全法制特別委員会で自民党高村正彦副総裁の質問に答える安倍晋三首相。後ろは中谷元防衛相(右)と岸田文雄外相=27日午前、国会・衆院第1委員室(酒巻俊介撮影)
 27日の衆院平和安全法制特別委員会では、自衛隊が物資補給や輸送など他国軍への支援活動する「現場」をめぐり、政府と民主党が火花を散らした。 新たな安全保障法制は「現に戦闘行為を行っている現場」でなければ、自衛隊による他国軍支援を可能とする。自衛隊が「戦闘現場」に近づくのか、そうでない のか見解が分かれた。
 政府はこれまでイラク復興支援活動などの国際協力で、物資輸送や補給といった活動を「非戦闘地域」でしか認めず、朝鮮半島有事などを想定した現行の周辺事態法も後方支援の活動範囲を日本の領域と非戦闘地域に限ってきた。
  非戦闘地域とは「現に戦闘が行われておらず、活動の期間を通じて戦闘が行われない」と定義され、特別委で中谷元・防衛相は「非戦闘地域は長期間を想定して 固定的に区域が設定され、柔軟な活動ができなかった」と問題点を指摘。「新たな仕組みでは常に情勢を踏まえた判断がされる。自衛隊が活動する期間に戦闘が 発生すると見込まれない場所であり、(非戦闘地域との比較で)安全性に相違点はない」と強調した。
 だが、民主党大串博志氏は「現場の状況判断で、戦闘現場になる、ならないを判断しなくてはならない。ものすごい負担が現場にかかる。なぜかというと、戦闘現場に近接するからだ」と訴えた。
 これに安倍晋三首相は「全く逆だ」と指摘。その上で「自衛隊が活動を行う期間に戦闘行為が発生しないと見込まれる場所を選ぶ が、そうでなくなる可能性はある。指揮官の正しい判断で、危険な状況になる前に柔軟に(活動場所を)移すことができる」と説明。法改正によって、「戦闘現 場」に接近し、自衛官の身に危険が及ぶ可能性が高まるという大串氏の主張に反論した形だ。
 「自衛官のリスク」をめぐっては、民主党岡田克也代表も論戦を挑んだ。
 岡田氏は「輸送する場所も現に戦闘が行われている現場以外だったらいいのであれば、リスクが高まらないとはいえない」と指摘した。
 中谷氏は「確かに今回の法律によって任務のメニューは増える。リスクが全くなくなるわけではない。いろんな情報を入手して実行可能なものを選び、事前に国会に承認をいただいて部隊を送り出す。派遣された隊員もリスクを極小化して任務を遂行する」と説明した。
 岡田氏は質疑がかみ合わないことにしびれを切らし、「リスクがかなり高まるのではないかと議論をしている。リスクが高まるのがダメだと言っているのではない。そこが正直ではないから議論が深まらず国民の疑念が解けない」と不満を漏らした。