朝日よ「教科書は日教組の機関紙であってはならない」とも書け
2015.4.9 05:00更新
【阿比留瑠比の極言御免】
朝日よ「教科書は日教組の機関紙であってはならない」とも書け
http://www.sankei.com/politics/news/150409/plt1504090004-n1.html
朝日新聞の7日付社説「教科書はだれのものか」を一読、「よく言うよ」とあきれた。社説の書き出しはこうである。
「教科書は、国の広報誌であってはならない」
朝日は、来春から使用される中学校教科書の新検定基準で、近現代史に関して通説的見解がない事項の記述にはその旨を明記することや、政府見解を尊重する記述が求められるようになったことがお気に召さないらしい。
これまで教科書は、現場の教員が主に務める「調査員」が実質的に採択の方向性を決めてきた。そのため、教科書記述は声の大きな日教組教員らが好む左がかった内容となりがちだった。
だが、朝日はそうした教科書採択の実態、問題点には目をつむり、決して「教科書は、日教組の機関紙であってはならない」とは書かなかったではないか。
また、朝日は竹島(島根県隠岐の島町)や尖閣諸島(沖縄県石垣市)などの記述で、政府見解が反映されたのも納得できなかったようだ。社説では、「相手国の主張や根拠まで扱った本はほとんどない」「これでは、なぜ争っているか生徒にはわからない」などと批判している。
とはいえ、相手国の主張を取り入れるとはどういうことか。広島県教組と韓国の全国教職員労組大邱支部が共同執筆した日韓共通歴史教材(平成25年3月刊行)は、例えば慰安婦問題についてこう書いている。
「日本軍は朝鮮の女性たちを日本軍『慰安婦』として戦場に連れていき、性奴隷としての生活を強要しました」「その対象となったのはほとんどが十代の若い女性たちで、中には11歳の少女もいました」
朝日は、こんな事実無根の話でも、相手国の主張ならば教科書に載せるべきだというのだろうか。教科書は日本の将来を担う子供たちのものであり、日教組や韓国のものではない。
朝日は相変わらずだなと思っていたら、同日の民主党の細野豪志政調会長の記者会見にさらにあきれ返った。細野氏は自ら今回の教科書検定について切り出し、こう述べたのだ。
「教科書が政府広報のようになるのであれば、非常に大きな違和感を覚える」
どこかの新聞の社説で読んだようなセリフである。細野氏は「教科書記述の内容がかなり狭まったという印象を受ける」とも指摘したが、記者側からの「具体的にどの部分か」という当たり前の質問には答えられず、こう繰り返した。
「報道などを通じて接している情報に限定されるので、個別のことについて申し上げる状況ではない」
「それは教科書をしっかり全部読んだ上で言うべき話だろうから、報道で私が把握している情報の中で申し上げることじゃない」
だとすると細野氏は、一体何を根拠に「政府広報」だの「記述の内容が狭まった」というのだろう。細野氏はその一方で、教科書に領土に関する記述が増えた点については、次のように逆に評価してみせた。
「日本がしっかり正当性を主張することは非常に重要だ。国民的な理解は必須だ。これまでの教育で、きちんと教えてこなかったことは問題だと思っている」
それならば、新検定基準を何のためにことさら批判したのか。まさか当日朝に読んだ新聞の論調に引きずられ、安倍政権批判の材料になると安易に飛びついたなどということはないだろうが。(政治部編集委員)