アベノミクス・消費税増税再延期 安倍首相「野党にまとまった経済政策はない」 野党「アベノミクス失敗」で共通も消費増税の立場はバラバラ
2016.6.17 23:23更新
【参院選・注目の争点】
アベノミクス・消費税増税再延期 安倍首相「野党にまとまった経済政策はない」 野党「アベノミクス失敗」で共通も消費増税の立場はバラバラ
http://www.sankei.com/politics/news/160617/plt1606170059-n1.html
街頭演説を終え聴衆に手を振り後にする安倍晋三首相=17日午後、大阪市北区(前川純一郎撮影)
「参院選の最大の争点は経済政策だ。野党はまとまった経済政策がないから、口を開けば、『アベノミクスは失敗した』と、こればかりだ。果たして本当にそうだろうか」
17日午後、JR大阪駅前の街頭演説に立った安倍晋三首相はいつもの“つかみ”のフレーズで、集まった数百人の聴衆に訴えた。
参院選の最大の争点は、安倍政権の経済政策「アベノミクス」を継続させるか否かにある。首相は街頭演説や自民党の参院選公約で、平成24年12月の政権交 代後、日本経済を取り巻く環境が好転した実績を列挙する。有効求人倍率は政権交代前の0・83倍から1・34倍(今年4月時点)と24年ぶりの高水準にな り、初めて全国47都道府県すべてで1倍超になった。企業収益の大幅改善に伴い税収も国と地方で計21兆円増加。3年連続で2%程度の賃上げ実現など具体 的な数字を示し、批判一辺倒の野党との違いを強調している。
アベノミクス効果で経済指標は好調に推移するが、その実感は乏しいのが実情だ。首相も街頭演説でそれを認め、「アベノミクスは決して失敗していないが、まだ道半ばだ。まだまだ実感できない方がたくさんいる」と、アベノミクスの継続が不可欠と訴える。
公明党は「アベノミクスの実感を国の隅々まで行き渡らせることが今後の具体的な目標だ」(山口那津男代表)として、公約では中小企業や家計、地方重 視の姿勢を強調する。非正規労働者の賃金を正社員の8割程度への引き上げを目指すとも明記。31年10月の消費税率10%への引き上げに伴い、飲食料品の 税率を8%に据え置く軽減税率制度の導入や、制度の円滑な導入に向けた中小・小規模企業支援も盛り込んだ。
一方、参院選で共闘する民進、共産、社民、生活の野党4党は、消費税増税の再延期を決断した首相に対する批判を強める。増税できる環境を整えられなかったとしてアベノミクスを「失敗」と断じるが、消費税をめぐる4党の立ち位置は異なり、共闘は危うさもはらむ。
野党にとって「アベノミクス批判」は重要な共通項目だ。12日のNHK番組で共産党の小池晃書記局長は「アベノミクスはいつまでたっても道半ばだ。道の方 向が間違っている」と痛烈に批判。民進党の玄葉光一郎選対委員長も「強いものをより強くするアベノミクスは『ダレノミクス』なのか。この道は危ない」と警 鐘を鳴らした。
ただ、財政再建の観点から公約で増税の2年延期を掲げた民進党に対し、共産党は「増税断念」、社民党は「増税中止」を公約に明記し、違いは明らかだ。
増税再延期で不足する社会保障財源の穴埋めもはっきりしない。民進党の岡田克也代表は赤字国債を充てる考えを表明したが、「赤字国債は無責任」と の批判を意識し、公約には明記しなかった。まずは行財政改革で財源を捻出する方針だが、旧民主党政権で失敗した手法であり、実現力には疑問符が付く。共 産、社民両党と同じように大企業向けや富裕層の政策減税の見直しも明記したが、毎年膨らむ社会保障費をカバーできるのかは見通せない。
一 方、民進党内には岡田氏が首相よりも先に再延期を表明し、参院選で差別化が図られなくなったことへの不満もくすぶる。長島昭久元防衛副大臣は5月31日の ツイッターで「(増税を決めた旧民主、自民、公明の)3党合意の精神を切々と説いて、逃げるか安倍首相と迫ったら、どれだけ迫力があったか。残念無念だ」 と訴えた。(岡田浩明、小川真由美)