【iRONNA発】 劣化する左翼リベラル 民主党よ、国民は健全な野党を求めているのだ! 山村明義(作家・ジャーナリスト)

 

この論文が書かれた時点では、民主党であったが、民進党と名前を変えた現在でも同じ指摘が適合する事実を憂う。

 

 

2015.12.4 15:00更新

【iRONNA発】
劣化する左翼リベラル 民主党よ、国民は健全な野党を求めているのだ! 山村明義(作家・ジャーナリスト)

http://www.sankei.com/premium/news/151129/prm1511290033-n1.html

 

衆院本会議で民主党などが退席するなか安保関連法案が可決した=7月16日午後、国会内

 平和安全法制の審議の最中の9月19日、共産党の志井和夫委員長が呼びかけた「国民連合政府構想」の実現を目指す、民主党共産党との政策協議が進行中だ。この構想に対し、民主党岡田克也代表は、「どうしたら安倍政権を倒せるのかという視点で物事を考えていく必要がある」と述べた。岡田民主党執行部の本音は、自民党の「一強多弱からの脱却」と「政権交代」であろう。両党は10月中にも政策協議を終え、世論調査による国民の期待値は、「39%もある」という。(iRONNA)

 つまり民主党共産党は、4割近くの国民が望む安保法制を廃止し、与党の「憲法改正反対闘争」を目標に据えながら、安倍政権倒閣のため、お互いが共闘するーというのだ。

 ここで気づくのは、現在の日本の野党政治では、共産党が政権参加姿勢を示すという「戦争直後以来の事件」が起きており、民主党の左翼リベラル思想に基づく政党の体質が変わらないどころか、益々劣化している点にある。

実際、旧民社党出身の松本剛明氏が離党すると、党内では前原誠司氏らから解党要求が出るなど、大混乱を始めた。2009年から12年まで3年3ヶ月の民主党政権は結局、「政権交代」が目標に過ぎず、その弱点は「政治思想」にあった、というのが「民主党政権悪夢と恐怖の3年3ヶ月」を書いた私の「総括」であった。例えば、東日本大震災尖閣諸島をめぐる中国との紛争など安全保障問題を解決できない。マクロ経済政策では円高デフレ政策をズルズルと続け、社会保障のために消費税を上げようとした。沖縄の基地問題は、「最低でも県外」と言いながら当初の辺野古基地に戻し、その後全く解決不能に追いやった。当時、「世界の情勢がリベラル政党が主流だから、リベラル政党で政権が獲れる」と指摘され、その安易な発想による日本の国益を考慮しない負の政策は、日本国民にとって大きな不幸であった。

 彼らの過去の失敗の原因の一つは、民主党が革命的思想ばかりに目を向け、日本の歴史的・伝統的政治手法を無視したことがある。それは事実上、「国家を敵視した反体制的価値観」や、マルクス主義から変化を遂げたかつてのスターリン主義のように、「国家転覆による革命」を目指す共産・社会主義の「階級闘争・革命史観」に追従する思想である。だが、これは政権を獲得するためには有効だが、外部への事実に基づかない「レッテル貼り」や「反対のための反対」に陥りやすい。

 実際に、かつては安保法制に理解を示していた岡田代表は、いまや「戦争法案」と呼ぶことに同調し、党内の保守系議員からの批判をよそに、共産党との選挙協力には前向きな姿勢を示している。また枝野幸男幹事長も、自民党の安保法制に対して「相手の出方を見る」と、あたかも中国の毛沢東と瓜二つの発言を行っている。この執行部の言動を見る限り、民主党は3年前と変わっていないようだ。

 今回の「国民連合政府構想」でも、民主党がいまだに共産主義を捨てていない共産党と共闘する限り、マクロ的な日本の国益を阻害する方向へと向かざるを得ず、ゆくゆくは、共産党の戦略に利用されて終わるだろう。

 もし民主党が本当に政権を取りたいのならば、まずやるべきことは、安倍政権への「外部批判」ではなく、日本と日本人のための「安定的かつ繁栄できる政策」と、「内なる政治思想の変革」だからだ。国民の約4割が安全保障面でも経済政策的にも、日本を守ることの出来る「健全な野党」を求めているのに、それを無視し、反対方向へと向く政治方針への「先祖返り」は、政権時代の経験がまったく生きない「劣化」そのものなのである。

山村明義 昭和35(1960)年、熊本県生まれ。出版社勤務などを経て、現在は作家・ジャーナリスト。早稲田大学卒業後、金融業界誌、雑誌記者を経て、フリーランス・ジャーナリストからノンフィクション作家へ。政治・行政・外交ジャンルを中心に、経済、社会、宗教、芸能・スポーツ分野まで幅広く取材・執筆を行う。